多くの人にとって共通の願い、「健康」。
病気や老化の原因として、食事や生活習慣、ストレスなど様々な要因が挙げられますが、それを防ぐひとつの仕組みとして注目されているのが、体の「酸化」です。
りんごを切って置いておくと酸化して茶色くなってしまうのと同じように、空気を吸って生きている私たちの体も酸化し、老化や病気へと繋がっていくのです。
今回は、アンチエイジングを目指すみなさんに知っておいてほしい、老化防止成分についてご紹介します。
老化の原因「酸化」と、それを防ぐ「抗酸化物質」
私たちが酸素を取り入れる過程で、一部の酸素が酸化力の強い“活性酸素”に変化します。活性酸素は微量であれば人体に有用な働きをしますが、増え過ぎると、血管や細胞を傷つけ、体の内側を酸化(=サビ)させ、動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こします。
活性酸素は、放射線・紫外線・喫煙・飲酒・食品添加物・農薬・排気ガスなどの環境因子からも生成されますが、抗酸化物質を積極的に摂取することで活性酸素の作用を抑えられることが分かっています。
抗酸化物質とは、酸化されやすい物質のことで、活性酸素によって体が酸化されるよりも先に酸化してくれるものです。つまり、抗酸化物質自身が酸化されることで、体を酸化から防御してくれるのです。
人間の体には元々抗酸化物質が存在しますが、20代をピークとして加齢とともに低下するため、普段の食事で抗酸化作用をもつ栄養素を摂取することが大切です。
ここでは、抗酸化物質として代表的な「サポニン」と「ポリフェノール」について、詳しく説明します。
サポニン
サポニンの名前は、水と混ぜて振ると泡立つ性質(起泡性)があることから、ラテン語で石けんを意味する、シャボン/サポに由来しています。石けんと同じように親水性と疎水性があるので汚れを落とすこともでき、天然の界面活性剤とも呼ばれています。
また、生薬である桔梗や柴胡(さいこ)などに含まれるサポニンは、過剰に摂取すると、赤血球の膜が溶ける溶血作用や吐き気を引き起こすことがあるため、用法・用量を守ることが大切です。
長寿科学振興財団によると、サポニンの効果は、抗酸化作用をはじめとする老化防止に有用な働きが多くあります。
1)抗酸化作用
活性酸素を除去し、脂肪の酸化を防いでくれる。また、LDL(悪玉)コレステロールの蓄積を抑えることによって動脈硬化を予防し、心筋梗塞や脳梗塞などの予防にも役立つ。
2)免疫力向上
免疫機能をつかさどるナチュラルキラー細胞を活性化し、ウイルスや細菌から体を守る。免疫力をアップする働きがあり、インフルエンザや風邪などをひきにくくなる。
3)肥満予防
腸で吸収されたブドウ糖が脂肪酸と合わさるのを防ぎ、余分な脂肪の蓄積を抑制する。大豆サポニンには、動脈硬化や糖尿病を予防したり、脂肪の燃焼を促進したりする「アディポネクチン」の分泌を促進する働きがある。
4)血流改善
高麗人参などに含まれるサポニンは、血栓が血液中にできるのを防いだり、毛細血管の血流を改善したりする働きもある。血流が良くなるため、冷え症対策にもなる。
5)肝機能向上
大豆サポニンには、中性脂肪やコレステロールなどが活性酸素によって酸化された「過酸化脂質」を抑制する働きがある。肝臓に脂肪が蓄積した脂肪肝の状態になると、肝臓の脂肪が酸化され、肝機能も低下する。
6)去痰作用(咳や痰を抑える)
アマチャヅルには咳を抑える働き、桔梗サポニンには咳を抑え、痰を除去する働きがある。
サポニンを多く含む食品
大豆・大豆製品などのマメ科の植物や、高麗人参・田七人参・お茶・ごぼう・アマチャヅルなどの植物に多く含まれます。大豆サポニンは高野豆腐、大豆、生揚げ、がんも、油揚げ、おから、豆乳、ゆば、納豆に多く含まれています。
サポニンは健康維持や病気の予防に役立つ成分ですが、過剰摂取は栄養素のバランスが崩れてしまいます。
大豆製品からサポニンを補う時は1日1~2回、大豆製品を利用したおかずを取り入れるようにしましょう。
ポリフェノール
ポリフェノール(polyphenol)は、ポリ(たくさんの)フェノールという意味で、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合したヒドロキシ基)を持つ植物成分の総称です。
植物の苦味、渋味、色素の成分となっている化合物の総称で、自然界に5000種類以上存在しているといわれている栄養素です。すべてのポリフェノールが強力な抗酸化作用を持つため、生活習慣病の予防に効果的であるといわれています。
フラボノイド (ポリフェノールの1種)
ポリフェノールには実に様々な種類がありますが、今回は、強力な抗酸化作用を持っており、サプリメントなどに広く利用されている「フラボノイド」についてご説明します。
フラボノイドは、構造の違いによっていくつかの種類に分けられています。
カテキン
ワイン、茶、リンゴ、ブルーベリーに多く含まれる。殺菌作用を始め、血中コレステロールを低下させたり、高血圧を予防したりといった効果がある。
アントシアニン
ブドウの実皮やムラサキイモ、ブルーベリー、などの赤紫色をした植物体に多く含まれている色素成分。肝機能の向上を助け、疲れ目の解消などにも効果的といわれる。
タンニン
茶、赤ワイン、柿、バナナなどに含まれる渋味成分。カテキン同様、殺菌効果がある。
ルチン
ソバに含まれる。毛細血管を強化することによる血圧の降下作用、血栓の生成を予防する作用、ビタミンCの吸収を促進する作用などがある。
イソフラボン
大豆や大豆加工商品(豆腐、納豆など)、葛、葛粉などに含まれる。エストロゲンと同様の働きをするため、アンチエイジングなどの視点から着目されている。
終わりに
老化の原因となる体の酸化(=サビ)を防止するために摂取したい、抗酸化作用を持つ様々な食品。
サポニンとポリフェノールの両方を摂取するためには大豆製品、ポリフェノールの摂取のためには苦み・渋みのある食品・飲料を口にするのが良さそうです。
ただし、何においても過剰摂取は禁物です。 バランスの取れた食事を心掛ける中で、これらを取り入れるようにしていきましょう。