発熱と痒みが発症する水疱瘡(みずぼうそう、水痘:すいとう)と、痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが特徴の帯状疱疹(たいじょうほうしん)。
聞いたことがある方は多いと思いますが、どちらもヘルペスウイルス属の仲間の「水痘・帯状疱疹ウイルスにより発症します。ヒトに対して水痘と帯状疱疹を引き起こすため、このような名称になっています。
また、水疱瘡は、発疹が毛をむしった鳥の肌のぶつぶつに似ていることから、英語では「チキンポックス(pox:痘)」とも呼ばれるそう。
今回は、それらの特徴と予防法をお伝えします。
水ぼうそうの特徴
2~3週間の潜伏期間を経て、痒みのある水ぶくれの皮疹が頭・腹部・口の中を中心とした全身に広がり、数日間発熱することもあります。
発疹は時間とともにかさぶたになってゆき、1週間程度で治癒します。
治療方法としては抗ウイルス薬の内服が一般的で、高熱がある場合は解熱剤を使用することもあります。
なお、発症するのは9割が子どもで、ほとんどが10歳頃までにかかると言われています。
空気や接触を通じた感染力が非常に強く、幼稚園・保育園・学校など集団生活をしている場合はあっという間に集団感染することもあるので、周囲への感染を防ぐために感染が判明した時点でお休みするのが良いでしょう。
帯状疱疹の特徴
帯状疱疹は、体の左右どちらか一方に、ピリピリと指すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に現れるのが特徴です。
治療方法としては、ウイルスを抑える抗ウイルス薬と、痛みに対する痛み止めが中心となります。
また、合併症として、帯状疱疹による水疱などの皮疹が治った後も耐え難い激しい痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」が発症する場合もあります。
1~2ヶ月で症状が落ち着く人が多いと報告されていますが、1年以上続く人も多くいます。
薬物療法を中心に、神経ブロックや理学療法などを組み合わせるのですが、痛みを完全に取り除くのはしく、また治療は長期にわたります。
発症部位は上肢~胸背部が最も多く胸髄部(胸の部分の脊髄)発症例は全体の約半数ですが、部位別分節別で比較すると頭顔部が最多となっています。
水ぼうそうと帯状疱疹の関係
水痘・帯状疱疹ウイルスによって初めて発症するのが水ぼうそう、その後、神経節に潜んでいたウイルスが、疲れや病気、加齢で免疫力が下がった時に発症するのが帯状疱疹です(発症するのは約7割が50代以上)。
水ぼうそうと帯状疱疹の伝染性
水ぼうそうは、空気感染により水疱瘡未罹患者に感染することがあります。
一方で、帯状疱疹は、他の人に帯状疱疹としてうつることはありません。
ただ、帯状疱疹の方さんから、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児などに水ぼうそうとしてうつる場合があります。
ワクチン
水痘ワクチンは、水疱瘡ワクチン、水痘・帯状疱疹ワクチンワクチンとしても知られ、水痘と帯状疱疹の予防に使われています。
一度のワクチン投与で95%の一般的な水痘が予防され、重度の水痘の予防率はほぼ100%であること、二度の投与は一度の投与より効果は高いことが確認されています。
水ぼうそうは長く任意接種とされてきましたが、2014年から定期接種となりました。
帯状疱疹については、日本では2016年より50歳以上の方への帯状疱疹予防目的でのワクチン投与が認可されました。アメリカの帯状疱疹ワクチン(Zostavax)は認可されていないため、小児用の水痘用生ワクチンが転用されており、2020年より、帯状疱疹サブユニットワクチンが認可・流通しています。
若い人ほど帯状疱疹ワクチンの効果は強く、60歳代なら70%近い減少効果があるが、80歳代になると18%の減少効果となることが確認されています(Zostavax)。
終わりに
ウイルスにより感染する水ぼうそうと帯状疱疹。
ワクチンを接種することで痒み・痛み・発熱を防ぐとともに、加齢・疲労・ストレスによる帯状疱疹の発症率が高まることから、日頃から心身の健康を意識した生活をするのが良いでしょう。