免疫反応とアレルギー反応
体に異物が侵入した時に体に引き起こされる反応は様々ですが、大きく分けて<免疫反応>と<アレルギー反応>とがあることはご存知ですか?
今回は、それぞれの反応の違いや薬の作用の基本についてお伝えします。
免疫反応とは
ウイルスや細菌など、体に害を与える異物が入ってきた時に、抗体(ウイルスや細菌と戦い体を守ってくれる、人間のからだの中で作られる物質)を作り、攻撃することを言います。
アレルギー反応とは
花粉・ダニ・ハウスダスト・食物など、あまり害がない物質が侵入してきた時に、それらを有害な物質と認識し、免疫が過剰に反応して、体にマイナスの症状が引き起こされることを言います。
このアレルギー反応によって引き起こされるのが、ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などで、国民の3割以上が罹患していると言われています。
即時型アレルギーとIgE抗体
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が体内に入ってくると、これをやっつけようと「IgE(アイジーイー)抗体 」というタンパク質が作られます。
再びアレルゲンが侵入してきて、このIgE抗体のアンテナにひっかかり結合したとき、アレルギーに関与する細胞(マスト細胞)の中にあるアレルギー症状を引き起こす化学物質(ヒスタミンなど)が放出されて、かゆみなどの症状が現れてくるのです。
アレルゲンが体内に入って数時間以内という短い時間で症状が出るアレルギー反応を「即時型アレルギー」と呼び、花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、食物アレルギーが主な症状となっています。
ヒスタミンの遊離と抗ヒスタミン薬の作用
アレルゲンが体内に侵入すると、肥満細胞からヒスタミンが放出されます。そして、その受け皿として働くたんぱく質(ヒスタミンH1受容体)に結びつくことでくしゃみや鼻水などのアレルギー症状を引き起こします。
ヒスタミンH1受容体は全身に分布しており、睡眠・概日リズムの調節・血管拡張作用・眼圧上昇・前立腺肥大(尿閉)・気管支収縮に働いています。
このヒスタミンがH1受容体に結びつくことを防ぐはたらきをするのが、抗ヒスタミン薬です。即時型アレルギーを抑えるのに有効なため、比較的効き目が早いのが特徴です。
なお、肥満細胞は、膨れた様が肥満を想起させることが由来であり、肥満とは関係がなく、全身に存在する細胞です。
抗ヒスタミン薬の副作用
抗ヒスタミン薬はアレルギーの反応を抑える役割を持ち、古くから使われてきましたが、眠気・便秘・口渇などの副作用も多くありました(第一世代)。
副作用の原因
1.脂溶性が高いため血液脳関門を通過し、中枢で働くヒスタミンH1受容体の働きを抑制するため。
2. 受容体選択性が低く、他のアミン受容体にも結合して不活性化するため。
しかし、改良が進むことで中枢移行性が低下し、また、受容体選択性も改善されたことから、副作用が少ない抗ヒスタミン薬が開発されました(第二世代)。
終わりに
アレルギーは身近でありながら、はっきりと仕組みや意味を知らない言葉が多かったのではないでしょうか。少しでも理解の手助けになれると嬉しいです。
次回は、第一世代の薬についてもう少し詳しくご説明します。