健康を保つために私たちの生活と切り離せない薬。
症状が良くなってきたからと自己判断により途中でやめたり、自分に合うからと誰かに譲ってあげたりしたことはありませんか?
身近な存在だからこそ、正しく使うことが大切です。
そこで今回は、一般社団法人くすりの適正使用協議会が“くすりを使用するうえで最低限知っておくべき内容”としてまとめた「くすりの知識10か条」をご紹介します。
第1条
人のからだは「自然治癒力」を備えています。しかし「自然治癒力」が充分に働かないこともあります。そのような時に病気やけがの回復を補助したり、原因を取り除くためにくすりを用います。
バランスの良い食事・適度な運動・十分な睡眠により高まる自然治癒力(=自分の力で癒し治そうとする力)を大切にしながら、くすりで病気の症状を和らげる・原因を取り除く・予防や診断を行いましょう。
第2条
くすりは長い年月をかけて創り出され、承認制度により有効性や安全性が審査されています。
国はそれまでのデータから有効性、安全性、品質について確認・審査し、くすりを承認します。
また、販売されてからも、開発した製薬企業により、有効性・安全性が再確認されています。
第3条
くすりには、医師の処方せんが必要な医療用医薬品と処方せんがなくても薬局などで直接買える一般用医薬品があり、その販売は法律で規制されています。
医療用医薬品は、医師の診察・診断により症状や年齢、体質などに合わせて発行される処方せんのもとに処方されます。 一般用医薬品(OTC)は、症状を自分で判断し、薬局・ドラッグストアなどで購入できます。ただし、要指導医薬品と第1類医薬品は薬剤師からの説明を受けた上での購入となります。
第4条
くすりは、使用回数、使用時間、使用量など、決められた使用方法がそれぞれ異なっており、医師・薬剤師の指示や、くすりの説明書に従って正しく使用しましょう。
くすりは、血液に溶けて全身に運ばれます。効果を発揮するのに適した濃度(血中濃度)を保つ必要があるため、最も安全に、最大の効果が発揮される使用回数・時間・量が決められています。
それぞれのくすりの決められた使い方を守りましょう。
第5条
医療用医薬品は、自分の判断で止めたり量を減らしたり、また、くすりを他の人に使ってはいけません。
例えば抗生物質を飲むと、症状も軽くなるので途中でやめてしまいがちです。しかし、生き残った病原菌が再び増えて重い症状を引き起こすこともあります。自己判断でやめたり量を減らしたりせず、飲み切ることが大切です。
また、くすりを他の人に譲ったり他の人のくすりを使ったりしてはいけません。病気の原因や症状はそれぞれ違うので、他の人には効果がなかったり、副作用が出たりするなどの悪影響が生じる場合があります。
病気の原因や症状はそれぞれ違うので、他の人には効果がなかったり、副作用が出たりするなどの悪影響が生じる場合があります。
第6条
くすりには主作用と副作用があり、副作用には予期できるものと予期することが困難なものがあります。
くすりは、「主作用(本来の目的である病気を治す・軽くする働き)」が大きく、「副作用(目的以外の好ましくない働き)」がなるべく小さくなるように使用方法が決まっています。
くすりの説明書にはこれまでに分かっている副作用について書かれていますが、それ以外の予測できない副作用が現れることもあります。何か変だなと思ったら、すぐに医師、薬剤師に相談しましょう。
第7条
くすりを使用していつもと様子が違う時や判らないことがある時は、医師・薬剤師に相談しましょう。
医師・薬剤師は医療や医薬品の専門家で、くすりについて様々な情報を持っていて、必要な情報を提供する役割を担っています。
くすりを使う上で疑問に思うことがあれば気軽に相談してみましょう。
第8条
くすりは高温・多湿・直射日光を避け、子供の手の届かないところに保管しましょう。
くすりは、温度や湿度により効果がなくなったり変質してしまったりする場合があります。車内や窓際などに放置せず、高温・多湿・直射日光を避け、決められた方法で保管しましょう。
また、誤ってくすりを飲んでしまうことによる中毒を防ぐため、乳幼児の手が届かない場所に保管してください。
第9条
「サプリメント」や「トクホ」は食品であり、くすりではありません。
いわゆる健康食品、サプリメントやトクホは「食品」です。くすりと違って、病気やケガの予防や治療に利用するものではありません。健康な人が健康の維持や増進を目的に、自分の判断で使います。
健康食品などがくすりの作用に影響する場合がありますので、常用している健康食品などを医師、薬剤師に伝えることも重要です。
第10条
「おくすり手帳」は大切な情報源です。一人一冊ずつ持ちましょう。
おくすり手帳は、処方されたくすりの名前や使用量、回数、使用方法、注意することなどを記載することで、くすりの服用歴がわかる重要な情報です。
おくすり手帳について、こちらのページ(処方薬の代金を少しでも安くするために知っておくべき2つのこと)で、もう少し詳しくご紹介しています。
終わりに
「くすりの知識10か条」どれも知っている・守れていることでしたでしょうか?
全てクリアできている方は少ないかもしれませんが、より安心・安全にくすりと付き合うために、ぜひ心に留めておきましょう。