風邪気味、筋肉痛、眠りの質が良くない…心身の調子が悪い時、私たちは状況に合わせて様々な医薬品を使用しています。
ドラッグストアで買ったり(一般用医薬品)、それでは不十分だと感じる時は病院に行き診察や処方箋の発行を受け、薬局で購入したり(処方薬)。
処方薬の代金は一定だと思われがちですが、実は安くする秘訣があります。 今回は、その2つのポイントを解説します。
一般用医薬品(OTC)と医療用医薬品(処方薬)との違い
処方薬を安くするポイントの前に、まず、薬の違いについてご説明します。
病気などの予防や治療をするという点では同じですが、一般用医薬品(別名:市販薬、大衆薬、OTC=Over The Counter)は、薬局・薬店で処方せんがなくても購入できる薬で、一般の人が薬剤師などのアドバイスのもとに薬局やドラッグストアなどで購入し、自分の判断で使用するものです。
成分の種類や含有量などの観点から、指示されている用量の範囲では比較的安全とされています。
一方、医療用医薬品(処方薬)は、病院や診療所などで、医師が診断した上で発行する処方箋(しょほうせん)に基づいて、薬剤師が調剤する薬です。
効果の高いものが多い半面、副作用にも注意が必要で、医師から指示を受けずに保管して自分の判断で使用したり、他の人に譲ったりしてはいけません。
*最近は、調剤薬局を併設したドラッグストアも増えてきました。
【参照】独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 「知っておきたい薬のはなし」
ポイント① 処方箋をもらった病院の近くの薬局に行こう
それではいよいよ、処方薬を安くするポイントのご説明をします。
まずは、<処方箋をもらった病院の近くの調剤薬局に行くこと>です。
薬局には「院内薬局」、「門内薬局(病院の敷地内にある薬局)」、「門前薬局(病院のすぐ近くにある薬局)」、「大手調剤薬局/ドラッグストア(病院から離れた場所にある薬局)」の4種類があります。
調剤薬局で受け取る領収書をよく見ると、請求額の他に様々な点数の記載がされていて、「調剤基本料」という項目があります。
調剤基本料(1点=10円)は、経営規模・薬局の立地・幅広い病院からの処方箋への対応状況・ジェネリック医薬品の取扱い状況などによって、公的に点数が決められています。
この調剤基本料の決め方は複雑で、内部の人間以外が正確に把握することは困難ですが、一般的に、院内薬局<門内薬局<門前薬局<大手調剤薬局の順で安く設定されており、数百円の差が出ることもあるのです。
ポイント② お薬手帳を持参しよう
お薬手帳は、薬の名前、服用量、服用期間などが記載され、いつ、どのような薬を服用してきたかの履歴を確認することができる手帳です(最近はスマートフォンのアプリの提供も進みつつあります)。
平成28年度ならびに令和2年度の薬剤服用歴管理指導料の改定で、調剤薬局へ処方箋と一緒にお薬手帳を持参し、一定の条件を満たした場合、処方薬代が節約できる可能性があります。
その条件は、以下の2つです。
1. お薬手帳を持参
2. 原則3ヶ月以内に同じ薬局に来局
処方薬は保険が適応され、実際に支払う金額は1割〜3割負担になるので、お薬手帳を持参することで1割負担の方(70歳以上の方など)は約10円、2割負担の方は約20円、3割負担の方は約40円の節約となります。
ただ、大きな病院の近くにある大型の薬局やチェーン展開している大手の薬局などは除外されますので、ご注意ください。
お薬手帳を持つ大きなメリット
お薬手帳には、節約以外の大きなメリットがあります。
例えば、複数の薬の間での飲み合わせの悪い組み合わせや重複を避けることができ、副作用のリスクを減らせます。
また、旅行先や災害時、緊急時など万が一の時に携帯しておけば、服用中の薬の情報が共有できるため、適切な医療の受診や必要な薬の速やかな処方を受けられる可能性が高まります。
終わりに
①処方箋をもらった病院の近くの薬局に行く
②お薬手帳を持参する
このことで、病院で処方された薬の代金を少し安くすることができます。
同じ薬でも代金に差が出るとなると少しでも安い薬局を利用したくなりますが、健康にかかわる問題なので、サービスなども含めて判断すること、また、安心してお薬を使用するためにお薬手帳を持参することを心掛けていくと良いでしょう。